NEWS

ニュース

© DAIYU CO.,Ltd.
Scroll Down
進む 鉄鋼業界のカーボンニュートラル

2022.05.23

 アルミに続いて、今回は鉄鋼業界におけるカーボンニュートラルの世界動向を探ろうと思う。日本のものづくり王国として、鉄の生産量が多い愛知県。郊外に足を運べば、「工場からはモクモクと煙が上がっている」、これは見慣れた風景だ。
   世界で生産される鉄鋼1tにつき、約2t近くの二酸化炭素が排出されると言われている。「鉄鋼製造における脱炭素化」、これは持続可能な社会の実現には避けられない一方、再生可能エネルギーのサプライチェーンが未整備等いばらのが続いている。しかしその鉄鋼業界でカーボンニュートラルの動きが加速している。
 ヨーロッパのルクセンブルクに本社を置くアルセロール・ミタル(ArcelorMittal)はグリーン水素を用いた直接還元鉄の製造の実証実験を行ったと発表した。この実証実験は、鉄鉱石還元の生産プロセスにおいて、天然ガスの代わりにグリーン水素の使用可否を確かめるために行われた。実験中、6.8%の天然ガスをグリーン水素で代替えをし、24時間製造した。実験で使用されたグリーン水素はエレクトロライザー(水と電気で水素を製造する装置)を所有するサードパーティで生産され、カナダにある同社の北米グループ会社(ArcelorMittal Long Products Canada)に運ばれた。現在同社は同実験において、グリーン水素の割合を増加させる有効性を検証している。
 先ほどのアルセロール・ミタルもさることながらヨーロッパ各国でグリーンスティールの動きが活発だ。ドイツにあるRWTH大学はFlexHeat2Annealという共同研究プロジェクトに参加している。このプロジェクトはコイル材製造時の二酸化炭素排出の削減をするため、焼鈍しと溶融めっきラインで水素を燃料として使用することを目指しており、ドイツ政府がこの研究に5千万円強(380,000ユーロ)の資金を供給している。またスウェーデンにあるH2 Green Steelという会社は5月中旬に、150万トン以上のグリーンスティールを顧客に前売りしたと発表し、2025年から生産される。
 先述したように、グリーンエネルギーを安定的に供給するには生産、保管、配送等サプライチェーンを整えることは必須である。サプライチェーンが整えば金額も安価になり、より使用者が増えるであろう。グリーンエネルギーのサプライチェーン完成にはまだまだ時間はかかりそうだが、世界では一歩一歩脱炭素化に向けて前進している。

 

ソース

https://hydrogen-central.com/arcelormittal-tests-replacement-natural-gas-green-hydrogen-direct-reduced-iron/

https://hydrogen-central.com/hydrogen-fuel-steel-industry-rwth-project-flexheat2anneal/

https://hydrogen-central.com/h2-green-steel-sold-1-million-tonnes-green-steel-customers/